いつだったかな。 5年くらい前、、、かな?
アジアだったかアフリカだったか、どこかの貧しい国。
そこに学校を建てるため、その資金を、その国原産のコーヒーを売って集めている。
そう言ってパンフレットとコーヒーを差し出し、買ってくれないか、という人が来た。 もちろん日本人。
コーヒーは好きで毎日がぶ飲みしているし、寄付にもなるのなら素晴らしいじゃないか。
そんな軽い気持ちでいくつか買ってみた。
それは、ドリップ式のコーヒー。
1回分ごとに包装されていて、通常のコーヒーと見た目は何ら変わらない。
ただ。
驚くほど不味かった。
美味しいものから不味いものまで、幅広く受け入れられる方だと思っていた私にも、全部飲むことができないほど。
とにかく不味かった。
せっかく収穫したものなのに、ごめんなさい。 謝りながら、全部捨ててしまった。
それから2~3年が経ち、別の物件へ引っ越していた頃。
20代前半くらいの女性が突然やってきた。
手にはパンフレットとコーヒー。
同じ国の同じコーヒー。
あぁ。 あの不味いやつか・・・ ちょっとあれはさすがに買っても飲めないな。
「あ、すいません、そのコーヒー、以前買ったことがあるんですが、ちょっと私の口には合わないんです・・・」
外は少し寒かったので、少し早口で説明する。
断られ慣れているのか、さらに勧めてくることはなく、その女性は少し落胆した様子で、
「そうですか・・・」
少しかわいそうかなという気分になりながら、
「あ、でもちょっと待っててくださいね」
と、玄関口に待たせ、急いで戻り、
「さっき話したとおり、コーヒーはいらないので、普通に募金します」
たまたま財布に入っていた5千円札を差し出す。
すると、その女性はものすごく驚いた顔をして、
「ありがとうございます!」
なぜか、何度も何度もお礼を言い、少し申し訳なさそうな表情もちらつかせながら、立ち去っていった。
募金活動も大変なんだろうなぁ・・・来年もまた募金してあげよう。
なんだかすごく良いことをした気分で、今でも妙にこのことを覚えている。
でも。
その募金活動の人は、二度とうちには来なかった。
思い返せば、あれは、募金詐欺だったんだろうな。
あの女性が募金詐欺をやめるきっかけになったのなら、あの5千円はそれ以上の価値があったな。
もちろん。
全然違う事情でやめたろうし、今も別の場所で続けているのかもしれないし、そもそも私のことなど覚えているはずもないだろうことは分かってるけど。
でも、そう思うと悪い気分はしないのだから、なんだか不思議。
そんな 炉辺の語り でございました。
ちゃんちゃん。
うめ 2011.03.19 (土) 09:47 編集・削除
本当に集めたお金を恵まれない人たちのために使ってくれるなら
いいことだと思うけど、世の中悪い人もいるから、なかなか難しいね。